elude丸

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フルCGから見る世界情勢とセルアニメ制作現場の懸念

      2017/03/06


Netflixとタイアップして始まったフルCGアニメーション

Netflixがどうにも「亜人」を強くプッシュしている。
ということは、ここ数日。私がブラウジングするたびに出てくる
「亜人」のディスプレイ広告で本当によく分かる。

さて、そんなNetflixで配信されている「亜人」を作った製作会社のインタビュー記事が
以前にも何度か紹介させて頂いた「境治」さんのサイトに公開されている。

『シドニアの騎士』はNetflixを武器に世界と戦う!〜ポリゴン・ピクチュアズCEO・塩田周三氏インタビュー〜

インタビューとしては制作を行ったポリゴン・ピクチュアズの成り立ちから
Netflixでも公開されている「シドニアの騎士」の制作とNetflixとの関わりなど。
制作。というサイドよりも、売り込みやNetflixとはどんな企業なのか。
などの、アニメビジネスに関する要素を含んだ内容と言え、大変興味深い記事となっている。

そんな興味を惹かれた記事で、最後の言葉がとても印象的なので引用させて頂く。

いま起こっている変革とは、流通面で国境がなくなったことです。国際下手な日本人が無理しなくてもNetflixが来てくれて、すぐに海外で配信できるようになりました。その代わり、いままでの振る舞いではダメで、海外相手に仕事するならばそれに見合った振る舞いを身につけねばならない。

という言葉でインタビューが締めくくられている。
日本で産まれた制作会社ながら、アメリカからの仕事を多くこなした制作会社だからこそ。
感じ取れる日本と海外とのギャップ。そんなギャップに対しての本音を多く含んだ言葉のように受け取れる。

海外で広がるフルCGアニメーションは韓国制作で広がる?

こんな記事を読んだことがある。
フランスの劇場用アニメ動向 –ジブリの穴は埋められるのか- 第3回:細田守作品を育てていけるか

引用させて頂くと

2014年には韓国が出資した「ナッツジョブ サーリー&バディのピーナッツ大作戦」(以下「ナッツジョブ」)が120万人を超えるヒットとなった。

つまり、韓国内ではすでにフルCGアニメーション制作が始まっており
アニメーションの輸出によって大きく成果を出せる品質を持っていた、と読める。

韓国のアニメ事情は、2000年代頃は日本からの下請けとして芽吹き始めた。
狙いは人件費の安さによって制作費が少ない日本のアニメ市場を支える意味合いが強かった。
その恩恵によって、ある意味で日本のアニメ文化は保っていたと言えなくもない。
(まあ、安価な分、ひっどいアニメはいくつもあったけど……)

アニメと言えば日本。という風に海外でも知られるほど
多くの作品を公開し、多くの海外ファンの心も射止めてきた。しかし

それは過去の話にはなっていないだろうか?

今ではうえで紹介したようにフルCGアニメーションとして
韓国が国外で成果を出し始めており、「アニメ=韓国」という潮流が始まる可能性を示唆してる。
この事実を重く受け止めているのは私だけだろうか?

セルアニメはフルCGアニメに駆逐されていくのだろうか?

そもそも、韓国へとアニメーションの技術やスキルを輸出したのは
2000年代の日本の制作現場であったとも言えなくはないだろうか?

それに対して、日本でのアニメ市場はどうしてもセルアニメにこだわりがあり
市場原理の影響から、セルアニメ制作から抜け出せない状況が今なおも続いている。

このような書き方をすると、まるで私が
「日本もセルアニメから脱し、フルCGに意向しなければならない!」
と、声高に力説しているように思えるだろう。……が、私が言いたいことはそこにはない。
なぜなら私個人もセルアニメの方が好きな一人である。

と、少し茶化してしまったが、私が言いたいことは
現状のセルアニメ制作事情は今後も明るいのか?ということを心配している。

robot_cg

上でも書いたように韓国のフルCGアニメーションが海外で受け入れられている。
となると、韓国内でのアニメーション制作はフルCGアニメーションへと広がり始める。
理由は二匹目のドジョウを求めて、次なるヒットを狙おうとするからだ。

すると、セルアニメ制作からフルCGアニメーションへと転向するアニメーターが増え。
結果として、人手不足が生じてくる。

その煽りを受けるのはもしかすると、セルアニメにこだわっている日本のアニメではないだろうか?
これまで当てにしていた韓国のスタジオが人手不足で受注できなくなり
日本国内での制作ができずに、アニメ制作自体が追いつかなくなる。

となると日本のアニメ制作現場は以下のことを考えなければならなくなる。
「制作費を抑えるために品質を低下させる」「人件費を今以上に削っていく」
「今とは別の形で費用を回収する手段を模索」などなど

さまざまな部分で、これまで保たれていた均衡が崩れかねない可能性を秘めている。

これらが何年後なのか、何十年後なのかは分からないが
のちのちに訪れてくる可能性があるのではないだろうか。

より良いセルアニメが増えるのは嬉しい事ではある。一人のアニメファンとして切実に思う。
だが、時として「海外展開」が望めるような原作作品に関しては
日本だけの趣味趣向に引きづられるのではなく
もっと大きなグローバルな視点で企画を練りこまなければならないのではないだろうか。

例えば「乙嫁物語り」などは如何だろうか?
日本では海外の状況を聞く機会はないが実はフランスなどでも人気がある作品だとコラムで紹介されてる。

他にも様々な日本で刊行されている漫画の原作が
海外で人気を集めているものも少なくない。

例えば今回紹介した「シドニアの騎士」というのも海外で大変人気の高い作品の一つであった。
そういう意味ではセルアニメにこだわらず、世界への配給として「Netflix」を選んだというのも
マーケティング的には十二分に効果を期待できる良い選択だった。といえるのかもしれない。

こういう風に作品を世界へと発信するためには日本市場にこだわらず。
より良い表現を求めて、新しい手法にも手を出して行かなければならないのかもしれない。

そして、同時にファンのみんなにも。我々もまた変わっていかなければならないのかもしれない。

 - VOD, アニメ