elude丸

日々の思い描くことをツラツラと綴るブログ

*

アニメの製作委員会方式のビジネスモデルには改善の余地があるのかも?

      2017/05/16


アニメの製作委員会方式は小分けにしリスクヘッジしてのビジネスの正常化が目的

以前に「アニメの製作委員会」について
触れた記事を紹介させて頂いたことがあります。

ですが、それだけではまだまだ伝えたりていないものも多いようで
改めて製作委員会の実情について暴露している記事を見つけましたので紹介します。

日本のアニメをダメにしたのはあいつらだ! 業界のタブーを本音でぶっちゃけ解説

トークイベントにて放送された内容を記事に書き起こしたものになるのですが
ふむ、製作委員会としては、そういう問題もあるのか。と、実感をさせられてしまいました。

中国の会社が20億出すならしょうがない、その20億円を10の作品で割りましょうというカタチで、作品を10ぐらい作って、個々の作品の予算上限を1~2億ぐらいや数千万にとどめたりして、コントロール権を握ろうとした。

個人的に製作委員会が悪だ、とそこまで思っていなかったのですが
この話を聞くと、なるほどね。と思えなくもない話に感じるわけです。

以前に次のような記事を書いたこともあります。

深夜アニメが1クールで完結させたいのはオンアクセスを優先するから

深夜アニメは1クールで終わるものが多いのはどうしてか?という疑問から
ビジネスとして利益を得るために
「オンアクセスを重要視してるから」という推察を展開した投稿になります。
詳しくは記事先を読んでもらうとして、話を戻しまして。

アニメ放送を「プレアクセス」とすることで
「オンアクセス」としての「物販事業」に収益を集める、というビジネスモデルを構成しているのが現在の「深夜アニメビジネスの真相」だと考えています。

そのビジネスモデルの構造は、収益と損失を平均化することで
収益を得やすくするとともに、失敗するリスクを分散することを考えた結果辿り着いた形。
薄利多売というビジネスモデルになっているのかも。という見解に行き着くわけです。

製作委員会方式による小分けはリスクと利益を効率化するため

どうして薄利多売のビジネスモデルなのか。詳しく説明をするために例を紹介したいと思います。
一つの大型コンテンツを制作すると想定します。
紹介した記事であるように「20億」を超える大作コンテンツだとしましょう。

しかし、その大作コンテンツが100%ユーザーに認められ
その後もヒットが続き、続編に次ぐ続編。そして映画化でDVDやBDも大反響!
……というのは夢を見過ぎでしかありません。捕らぬ狸の皮算用としかいえません。
ヒットを飛ばすというのは、そう簡単な構図ではありません。

コストを掛けたから良い作品に仕上がる。というわけでもないのはハリウッドが証左をしてくれています。
結局のところ、どこかで試金石を用いて市場ニーズを掴んだ上で製作しなければ
ヒットを飛ばすことができるわけではありません。
また、根本的問題として20億もかけるような大作コンテンツを作るだけの肝っ玉は
日本のコンテンツ市場にはないという問題もあります。

そのため、20億を分割して、1億程度のコンテンツを複数制作する形を取るわけです。
結果として、複数作ったコンテンツの半数が失敗したとしても、残りの半数で収益が確保できれば
その中から選抜したコンテンツだけで次回作や映画化などの企画を進めることが可能となり
追い打ちビジネスを展開することができて、さらなる収益が望めるわけです。
これが今現在、日本のアニメ市場を構築している薄利多売のビジネスモデルと推察できます。

つまり、試金石を得るために「可能性のあるアニメ」をまずはテレビアニメで製作します。
それが「プレアクセス」なので、個別で見た時には収益が取れなくても
多売していることから、合算してみればそれなりの収益が期待できるわけです。
その上、その中で一発のスマッシュヒットが起これば、そこから映画化、文庫化、関連商品と
トントン拍子で収益化する未来がまっています。

そういう意味では、アニメというビジネスモデルをより良く収益化するため
今の「製作委員会方式」というアニメビジネスの構造は良くできているといえるのかもしれません。
が、それは収益を正常化させるためであり、逆を言うと
このビジネス構造を壊したくないという心理が働きます。
それは、さらなる高みを求めていないこと、向上心の欠如が心配になるのです。
ビジネス構造が確立された時、それを維持することだけに心理が働き波風を立てなくなります。
新しい冒険に出ようとしなくなった結果、小分けの数をさらに増やしてしまっていないだろうか?
それが今回紹介した記事のような不満へと噴出しているのかもしれません。

追記する必要もありませんが、小分けにすればするほどリスクは軽減できます。
ですが、配分できる総額予算には限界があるわけです。そこで問題になるのは「予算の分散」です。
紹介した記事が問題としているのは、予算を分散しすぎるあまり
制作スタッフへと予算が回りきらず、スタッフを集めることができなくなり
発生した納期遅れが広がり、結果として「放送遅延」へと帰結してしまっていることを、大いに問題としするわけです。

ビジネスの観点から考えて、予算を小分けにしリスクを分散させることは
個人的には正解だと言えます。見解としては肯定派であります。
しかし、そこに次のようなオプションをつけて、回避策も必要ではないかと考えるのです。
それは細分化し過ぎない。ということ。

例えば先で紹介した「20億」があったとします。
この時、10作品に分けてそれぞれのコンテンツ予算が「2億」とするのではなく。
10作品のパイロット版制作にある程度の予算を付けます。例えば「5億」ぐらい
その後、試写会での評価が高かったコンテンツに残り「15億」を分配し正式にコンテンツ化を開始し
スマッシュヒットを飛ばさなくても、ヒットできるコンテンツをより良い形で市場に送り出す。

いわゆる「ハリウッド手法」とも言えるもので
パイロット版を用いてユーザーの反応を確認した上でコンテンツの良し悪しを吟味。
悪い反応が多い場合には、その点をしっかりと改良したり
次クールへと持ち越して脚本の練り直しなどを実施してコンテンツ化を図ります。
動画配信方法はすでにさまざまなプラットフォームがあるうえに
パイロット版を公開することで本放送前にSNSなどによってファン層を構築できる可能性も秘めます。

ハリウッドが良い。というわけではありませんが
ハリウッドという映画ビジネスが、ビジネスモデルとして成功しているのは事実です。
今現在のアニメ放送を「プレアクセス」とするのではなく
その前のパイロット版を「プレアクセス」として、より良いコンテンツだけを
アニメ放送へと集約化させることも一つのビジネスモデルとできるのではないでしょうか?

そもそも、アニメ放送を「プレアクセス」にするという考え方自体が
なかなかに危険な考え方だと言うのです。ある意味で先行投資的にアニメを製作し
その先行投資をなんとか利益の出るものにするため「予算の分散」を発生させています。

アニメ化に借り出される「原作」の浪費にも触れておきたい

そして何より問題に考えて欲しいのが、そのアニメ化された原作です。
アニメ化するに当たり、オリジナル原作で製作する。というのはほぼほぼありません。
理由は簡単です。原作があれば原作の売れ行きを見ることで、ヒットする可能性が測れるからです。
その結果、ヒットするであろうという形でアニメ化されるも
予算が少ないことで、結局は原作を台無しにするようなことも少なくありません。

結果、アニメ化された事実だけが残り、原作が面白いのに
その後アニメ化されることなく、原作が完結してしまう。なんていうのも少なくありません。

原作は原作者のアイデアによって構築されており
スマッシュヒットを展開できるような原作が毎年のように出現するようなことも難しいでしょう。
となった時、原作を浪費していく現状というのは容認できるものではありません。

原作の権利を保有している出版社なども、原作のアニメ化を
ある意味で「マーケティング手法」の一つ。アニメ化された原作。という形での売り出し。
などを考えている場合には、しっかりとした原作が持つポテンシャルを踏まえた上で
十分に理解して検討して欲しいと思わずにはいられません。

 - VOD, アニメ