elude丸

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映画「海獣の子供」映像美に惚れ込める作品。だが私的には……。

      2019/06/10


アニメで難しい「水」描写を映像美にした「海獣の子供」

実は自分の中で

2019年夏の三大アニメ映画

という位置づけをしている作品があります。

その一つが先日観た「プロメア
これは間違いなく、2019年夏の三大アニメ映画に違わぬ大作。

映画「プロメア」火消しの活劇をさすがのTRIGGER作品!熱い展開が心を躍らせる!

何をとっても素晴らしかった作品。
見たあとから映画の感想が沸き起こり
紹介する記事を書くのもまったく淀みなく。
書きながら映画のワンシーンが蘇るほどに鮮明に記憶に刻まれた作品でした。

そして、2019年夏の三大アニメ映画のもう一つを先日観てきました。
それが「海獣の子供


©2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会

原作が漫画であるとは知らなかったのですが
予告編の映像美を見て、興味を持ったことから
2019年夏の三大アニメ映画へとノミネートさせて頂いたわけです。

なので原作は知らず、映画だけの評価をしております。

「海獣の子供」は全編を通して圧巻の映像美!

まずはなんと行っても映像美です。

原作漫画も多くの人が映像美について褒めているように
映画でもその点はすごく配慮して美しい描き方をされています。

そしてアニメ作品で難しい表現の一つである「水」の表現
ここに一切の妥協もありません。

冒頭の摩天楼をバックに大ジャンプを決めるシロナガスクジラや
主人公の少女である琉花の視点で海面と海中を行き来するシーン。

もともと海に縁がある物語性として
この「水」表現については一切の妥協がなく
緻密にそして色鮮やかに描かれています。

決して青いだけの海ではなく
時間や場所によって変わる様相も取り入れ
夕暮れの赤い海や闇夜の吸い込まれそうな海。

そして、表裏一体の空の景色も相まって
圧倒的な風景ビジュアルがスクリーン上に投影されます。
この全編を通しての圧巻の映像美は必見の価値はあります。

さて、ここから先はネタバレを含まれる内容になるので
まずは映画を観てからにしていただければと思います。

映像美は目を見張るものがありました。
しかし、私個人的には最後まで集中して映画を楽しむことができなかった

とういうのも物語性について若干の気になる部分が潜んでいるから。
それは「緩急の希薄」です。

物語性を孕むエンターテインメントにおいて
主人公への感情移入や物語の緩急は絶対条件です。

特に視聴時間が決まっている映画においては
平均で2時間ほども観続けなければならず
感情移入し、緩急をつけて観客を引き込むからこそ楽しめるわけです。

そういう意味では今作「海獣の子供」は
この緩急において弱かったとしか言いようがありません。

他にも気になるのが「大人のキャラクター」

例えば主人公の琉花と謎の二人の少年、空と海を引き合わせてくれる
海洋学者の大人たち
そんな海洋学者は少年少女を導く存在として描かれるため
どこか達観し、説教臭く物事を外側から語ります。

そんな導く存在としてキャラクター設定されているために
外側に徹していた海洋学者が
終盤にて説教を挙げ連ねてわかったかのように語りだします。

琉花がこの夏休みで経験したことを
主人公たちが自分なりの答えを持って独白させるならまだしも
外部で何もしていなかった大人たちが
達観しさも知ってたかのように物語を補填するように喋らせるのはどうにも説教臭く感じました。
そして、さらに問題なのは同じような立ち位置の「別キャラの3人」存在すること。
似たような達観キャラが三人もいて、キャラかぶりが多すぎてさらに説教臭くしています。

ましてや謎の少年たちと琉花との交流に関して
ほぼほぼ関与しないのも違和感しかありません。

二人の少年はとても貴重なサンプルであり
一人は弱体化している危険な状況です。

にも関わらず、二人にあうことを容認し放任しています。
明確な演出もなく琉花という少女の存在を受けていることに
「なんで?」と疑問だけが残ってしまいます。

これらの逆説とすると少年少女の物語とするために
視点をぶらさないために大人たちの登場を最低限にし介入する機会を少なくした。
というなら、わからなくもないのですが
それならば重要なこの物語でどのように少年・少女たちが答えを出したのか。
という部分までしっかりと少年と少女の口から語らせるべきだったと思わずにはいられません。

少年少女が語れない足かせの言葉「大事なことは言葉にできない」

では、どうして少年少女たちは言葉にできなかったのか。
そこにあるのが次のフレーズです。

「大事なことは言葉にできない」

この映画ではこのフレーズをキラーワードとしております。
映画全体を締める瞬間に出てくるフレーズであり
タイアップした米津玄師さんの楽曲「海の幽霊」でも
盛り込まれているフレーズです。

だからこそ、少年少女から明確な言葉は引き出さなかった
という意味もわからなくはありません。

しかし……。エンターテイメントである「映画」としては
明確に言葉にしないと観ている観客には伝わらない部分も多々あります。

というのが私が映画をみた感想です。
映像美はすごく圧巻なのは間違いありません。
まして漫画を見たわけではないので原作による補完もありません。

なので漫画が好きだから、という場合には別の感想があるのかもしれません。

しかし、映画だけを見た場合
私の感想としてはもう一度見たいとは思えませんでした。

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